最初はAutoCAD LT のプルダウンメニューに独自の項目を追加してみましょう。
今回から数回に渡って以下のメニューを作成します。
「初期設定」 ・・・ 図面の縮尺と用紙サイズを一括で設定します。プルダウンメニューから「初期 設定 A2-S100」のような項目を選ぶだけで必要なシステム変数を所定の値 に設定すると共に用紙の領域がポリラインで作成されます。
「寸法記入」 ・・・ 「水平・垂直 長さ寸法直列記入」、「平行寸法直列記入」等をオプション入力 なしで記入できる機能を追加します。
「線分系」 ・・・ 「振分線分」(既存の線分から指定の距離で両側に振り分けた線分を作成)
「中間点通過線分」(指示2点間の中点に、最初の点上にある線分を作成)
などの線分作図機能を追加
今回はAutoCAD LT に「初期設定」の項目を追加していきます。
尚、説明はAutoCAD LT 2014を基準にしていますが、AutoCAD LT 2007 以降のバージョンであればほぼ同じ手順でカスタマイズできます。
メニューのカスタマイズ
◆ 部分メニューを作る
リボンタブの「管理」タブをクリックし、「カスタマイズ」から「ユーザインタフェース」をクリックします。
「ユーザインタフェースをカスタマイズ」のダイアログが表示されます。
ではこれからメニューを作成していきますが、最初に、DIESEL式にオリジナル機能を追加する部分を、部分メニューとして追加します。
これは、後からCADをバージョンアップしたとき等に、作成したものを無駄にせず持ち出せるようにする為です。
「ユーザインタフェースをカスタマイズ」のダイアログの「カスタマイズ」のタブを選択します。
「すべてのカスタマイズ」の表示欄を一番下までスライドさせると「部分カスタマイズ ファイル」の項目が出てきます。
「部分カスタマイズ ファイル」の「CUSTOM」を選択し、右クリックします。
「名前変更」選択し、「CUSTOM」の名前を「MYTOOL」に変更します。
「部分カスタマイズ ファイル」の「MYTOOL」の「メニュー」を選択して右クリックし、
「新規メニュー」を選択して新規メニューを追加します。
新規メニューは「メニュー1」という名前で作成されますので、この名前を「MYTOOL」に変更します。
右側の「プロパティ」欄で「エイリアス」を選び、右端の[・・・]ボタンをクリックします。
入力欄が出てきますので、POP1となっている所を POP13に変更します。
「MYTOOL」を右クリックし、「新規サブメニュー」を実行します。
作成されたサブメニューの名前を「初期設定」とします。
次に、初期設定のコマンドを作成してメニューに加えてゆきます。
まず、「コマンド一覧: 」のすぐ下にある「すべてのコマンド」バーの右端、「新規コマンド」のボタンをクリックし、新たなコマンドを作成します。
右側に表示される「プロパティ」欄で、名前を「初期設定
A1-S100」とします。
◆ マクロの入力
さて、ここからマクロの入力をしていきます。
入力したマクロの意味については次回以降解説していきますので、今回はとりあえず入力だけして、どんな結果になるかを試してみて下さい。
初めての方はかなり長い、意味のわからない文字列に少々びっくりされるかもしれません。
この本文からコピー&ペーストで貼り付けることももちろんできますが、マクロの表現に慣れるためにも、1度は自分で最初から入力してみることをお奨めします。
1文字間違えただけでも思うような結果にならず、間違い探しに延々時間を取られたりするのがプログラミングの世界です。
是非初めの一歩として取り組んでみてください。
では続けます。
続いて、マクロ欄の右端ボタンをクリックし、新たなダイアログ(ロングストリングエディタ)で下記の入力をします。
^C^C_LIMITS;0,0;84100,59400;_rectang;0,0;84100,59400;_setvar;dimscale;100;;textsize;300;;ltscale;100;;userr1;100;_CHPROP;L;;LA;Defpoints;;^C^C_ZOOM;A;
改行やスペースなどは入りません。1行として続けて入力します。
次回解説しますが、このマクロで、システム変数の limmin, limmax, dimscale, textsize, ltscale, userr1 の値が設定され、Defpoints 画層に作図領域のポリラインが作成されます。
説明欄には、「縮尺が1/100で作図領域がA1の初期設定をします」と入力しましょう。
左下の「コマンド」欄に「初期設定 A1-S100」ができます。
「コマンド」欄の「初期設定 A1-S100」を右クリックし、「コピー」を実行します。
引き続き、左上の「部分カスタマイズ ファイル」>「MYTOOL」>「メニュー」>「MyTool」>「初期設定」
の位置に貼付けます。
同様に、通常使う用紙サイズと縮尺の組合せによるコマンドを作成してゆきます。
今回は例として以下の組合せのマクロ部分を入力します。
いずれも改行やスペースなどは入りません。1行として続けて入力します。
全て入力するとかなり時間がかかりますので、時々右下の[適用(A)]ボタンをクリックして保存するようにして下さい。
初期設定 A1-S200( 縮尺が1/200で作図領域がA1)
^C^C_LIMITS;0,0;168200,118800;_rectang;0,0;168200,118800;_setvar;dimscale;200;;textsize;600;;ltscale;200;;userr1;200;_CHPROP;L;;LA;Defpoints;;^C^C_ZOOM;A;
初期設定 A1-S100 ( 縮尺が1/100で作図領域がA1)
^C^C_LIMITS;0,0;84100,59400;_rectang;0,0;84100,59400;_setvar;dimscale;100;;textsize;300;;ltscale;100;;userr1;100;_CHPROP;L;;LA;Defpoints;;^C^C_ZOOM;A;
初期設定 A1-S50 ( 縮尺が1/50で作図領域がA1)
^C^C_LIMITS;0,0;42050,29700;_rectang;0,0;42050,29700;_setvar;dimscale;50;;textsize;150;;ltscale;50;;userr1;50;_CHPROP;L;;LA;Defpoints;;^C^C_ZOOM;A;
初期設定 A1-S20 ( 縮尺が1/20で作図領域がA1)
^C^C_LIMITS;0,0;16820,11880;_rectang;0,0;16820,11880;_setvar;dimscale;20;;textsize;60;;ltscale;20;;userr1;20;_CHPROP;L;;LA;Defpoints;;^C^C_ZOOM;A;
初期設定 A1 縮尺入力 ( 縮尺は任意入力、作図領域がA1)
^C^C_setvar;userr1;\_LIMITS;0,0;$M=$(*,$(getvar,userr1),841),$(*,$(getvar,userr1),594);-insert;BORDER;0,0;$(*,$(getvar,userr1),841);$(*,$(getvar,userr1),594);0;_setvar;ltscale;$M=$(getvar,userr1);;textsize;$M=$(*,$(getvar,userr1),3);_setvar;dimtxt;3;;dimscale;$M=$(getvar,userr1);;dimgap;0.5;;dimtad;1;;dimdec;1;_CHPROP;L;;LA;Defpoints;;^C^CZOOM;A;
- (区切り線)
※ 区切り線は「初期設定」を右クリックして表示されるメニューから挿入できます。
コマンドの選択を容易にする区分として活用すると良いでしょう。
初期設定 A2-S200 ( 縮尺が1/200で作図領域がA2)
^C^C_LIMITS;0,0;118800,84000;_rectang;0,0;118800,84000;_setvar;dimscale;200;;textsize;600;;ltscale;200;;userr1;200;_CHPROP;L;;LA;Defpoints;;^C^C_ZOOM;A;
初期設定 A2-S100 ( 縮尺が1/100で作図領域がA2)
^C^C_LIMITS;0,0;59400,42000;_rectang;0,0;59400,42000;_setvar;dimscale;100;;textsize;300;;ltscale;100;;userr1;100;_CHPROP;L;;LA;Defpoints;;^C^C_ZOOM;A;
初期設定 A2-S50 ( 縮尺が1/50で作図領域がA2)
^C^C_LIMITS;0,0;29700,21000;_rectang;0,0;29700,21000;_setvar;dimscale;50;;textsize;150;;ltscale;50;;userr1;50;_CHPROP;L;;LA;Defpoints;;^C^C_ZOOM;A;
初期設定 A2-S20 ( 縮尺が1/20で作図領域がA2)
^C^C_LIMITS;0,0;11880,8400;_rectang;0,0;11880,8400;_setvar;dimscale;20;;textsize;60;;ltscale;20;;userr1;20;_CHPROP;L;;LA;Defpoints;;^C^C_ZOOM;A;
初期設定 A2 縮尺入力 ( 縮尺は任意入力、作図領域がA2)
^C^C_setvar;userr1;\_LIMITS;0,0;$M=$(*,$(getvar,userr1),594),$(*,$(getvar,userr1),420);-insert;BORDER;0,0;$(*,$(getvar,userr1),594);$(*,$(getvar,userr1),420);0;_setvar;ltscale;$M=$(getvar,userr1);;textsize;$M=$(*,$(getvar,userr1),3);_setvar;dimtxt;3;;dimscale;$M=$(getvar,userr1);;dimgap;0.5;;dimtad;1;;dimdec;1;_CHPROP;L;;LA;Defpoints;;^C^CZOOM;A;
「縮尺入力」の項目で使われている「$M=$(」で始まる式がDIESELといわれる言語の式です。
何を意味しているかは次回以降解説します。
全部入力できたら、一旦ここで、カスタマイズを保存しましょう。
全部入力できたら、一旦ここで、カスタマイズを保存しましょう。
まず、[適用(A)]ボタンをクリックし、カスタマイズ実行を待ちます。
引き続き、[OK(O)]ボタンをクリックしダイアログボックスを閉じます。
AutoCAD LTの作図画面で、ワークスペースを「AutoCAD
LTクラシック」に設定します。
プルダウンメニューの右端に「MyTool」が追加されていることが確認できるでしょう。
プルダウンメニューの「MyTool」からサブメニューをクリックして、それぞれのマクロを実行することになります。
「MyTool」をクリックし、「初期設定」の「初期設定 A2-S100」をクリックすると、必要なシステム変数が所定の値に設定されると共に、用紙の領域がポリラインで作成されます。
今回はここまでです。
次回以降は各マクロの意味、「寸法記入」、「線分系」のメニューの追加、IJCAD、BricsCAD上での同様のカスタマイズ等を解説していきます。
今後の予定(順不同)
・ イメージタイルメニューの活用
・ ポップアップメニューの活用
・ ツールバーのカスタマイズ …等
次回更新は 7月12日(金)を予定しています。
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