2013年6月27日木曜日

メニュー作成の準備

では、オリジナルのメニューを作成する為の準備をしていきましょう。

AutoCAD LT 、IJCAD (LT)、BricsCAD で若干手法が異なりますのでそれぞれ解説していきます。
お使いのCADに該当するものを読んでいって下さい。

  フォルダ位置等は Windows7 を使用する前提で表記されています。


まず、準備として次のフォルダを作成してください。

  C:\Users\username\appdata\Local\MyTool\

  但し、username 部分は、各自のログイン名です。

このフォルダを、CAD側から認識できるように、関連付けの為パスを設定していきます。
(パスとは、ファイルやフォルダの位置を正確に表すための表記です)

パスの設定は、OPTIONS コマンドを実行して設定します。

まずカーソルをコマンドラインに合わせ、キーボードで OPTIONS と入力し、Enterキーを押します。
どのCADでもそれぞれOptionダイアログ(設定の為のダイアログ)が立ち上がります。


◆   AutoCAD LTの準備

OPTIONSコマンドのダイアログボックスで下記のようにパスを設定します。

[ ファイル ] タブの 「サポートファイルの検索パス」を選択し、[参照(W)]ボタンをクリックします。

先程作った C:\Users\username\appdata\Local\MyTool\ のフォルダのパスを選択、追加します。

追加したパスを、[上へ移動(U)]ボタンで最上位に移動させます。




次に、下記パス位置から Custom.cuix というファイルをコピーし、上記で設定したフォルダ、C:\Users\username\appdata\Local\MyTool\ の中にに貼付けます。

C:\Users\username\appdata\Roming\Autodesk\AutCAD LT 2014\R20\jpn\Support\Custom.cuix



更に、ファイルの名前を MyTool.cuix に変更します。



  C:\Users\username\appdata\Local\MyTool\MyTool.cuix となります。

次に、カーソルをコマンドラインに合わせ、キーボードから MENULOAD と入力します。

[参照(W)]ボタンをクリックし、MyTool.cuix のファイルを選択・指定します。

引き続き、[ロード(L)]ボタンをクリックし、MyTool.cuix のメニューを読み込みます。

 




◆   IJCAD (LT)の準備

OPTIONSコマンドのダイアログボックスで下記のようにパスを設定します。

[ ファイル ] タブの 「メニューファイルの検索パス」を選択し、[参照(W)]ボタンをクリックします。

先程作った C:\Users\username\appdata\Local\MyTool\ のフォルダのパスを選択、追加します。


.

次に、下記のサイトを開き、ユーザ登録をしてログインします。




左側の「サポート」メニューをクリックし、中央で「IJCAD2013関連ドキュメント」をクリックします。
次のページの「IJCAD2013メニューカスタマイズサンプル.zip」をダウンロードします。



引き続き、ダウンロードしたファイルを解凍します。
解凍して得た MyMenu.cui ファイルをコピーし、上記フォルダに貼付けます。



ファイル名を MyTool.cui に変更します。


C:\Users\username\appdata\Local\MyTool\MyTool.cui となります。

次に、カーソルをコマンドラインに合わせ、キーボードから MENULOAD と入力します。

[参照(W)]ボタンをクリックし、MyTool.cui のファイルを選択・指定します。

引き続き、[ロード(L)]ボタンをクリックし、MyTool.cui のメニューを読み込みます。




◆   BricsCAD の準備

OPTIONSコマンドのダイアログボックスで下記のようにパスを設定します。

[ プログラムオプション ] の [ ファイル ] を開き、[ ファイル検索パス ] を選択します。



右端に表示された[ ... ] のボタンをクリックしてフォルダーリストのダイアログを開きます。

[ フォルダーを追加 ] のボタン(紙の絵のアイコン)をクリックします。

新規に追加された行の右端に表示された[ ... ] のボタンをクリックし、表示されたダイアログから先程作った C:\Users\username\appdata\Local\MyTool\ のフォルダのパスを選択、追加します。

フォルダーリストのダイアログに戻り、[上へ移動 ] のボタン(上向き矢印のアイコン)で最上位に移動させます。




    BricsCADでは、カスタマイズのダイアログから新規に部分CUIファイルを作成しますので、
    この時点での準備はここまでです。


次回からはいよいよメニューのカスタマイズを始めていきます。

次回更新は 7月5日(金)を予定しています。

カスタマイズで何ができるの?

あなたは、AutoCAD LTの機能の内で何%位を使いこなしていますか?

多くの方が、おそらく20~30%程度ではないでしょうか。

もったいないですね。


少しずつ勉強して、ヘビーユーザ(パワーユーザ)を目指しましょう。

まずはどのような世界が広がるかについて、少し例をあげて説明してみましょう。

 メニューのカスタマイズ

リボンやツールバーを、自身の使い易いグループ・配置に設定します。


フライアウトを組み込むことで使い易さと共に広い作図領域を確保します。

プルダウンメニューに独自のメニューを追加することも出来ます。

 イメージタイルメニューを利用する

イメージタイルメニューを使うと、非常に多くのブロックを、グループ毎にスライド一覧から選択・挿入できるようになります。

一覧表示されるスライドで図柄を確認できることは非常に便利です。




 ポップアップメニューを利用する

例えば、鉄骨鋼材の挿入などに、サイズのリストをポップアップメニューに組んで選択します。
多数の要素の中から選択する場合には、ポップアップメニューが便利です。



 キーボード・マウスのカスタマイズ

コマンドエイリアスやショートカットキーを設定して素早く必要な機能が呼び出せるようにします。
マウスの右クリックをユーザの使いやすさに合わせてカスタマイズします。

 コマンドマクロの定義

DIESEL式によるコマンドマクロを作成して、本来複数の手順が必要な操作を一括でこなせるようにします。



AutoCAD LTは汎用CADです。

ユーザ各自の職種や仕事内容に合わせたカスタマイズは、作業効率を大幅にアップさせることでしょう。
ヘビーユーザになるということは、汎用CADであるAutoCAD LT パーソナルCADに仕立てるということなのです。

ヘビーユーザに向けて最初の一歩を踏み出しましょう。

この講座は、AutoCAD LT または DWG互換CAD パーソナルCADに仕立てようとするものです。

この講座では以下のバージョンのCADを対象としていますが、他のバージョン、DWG互換CADに応用することが出来ます。
 
 AutoCAD LT  2014
  IJCAD(LT)  2013
  BricsCAD  v13

作成するメニューの名前を MyTool.cuix または MyTool.cui とします。

それぞれのCADのメインメニューに対して、MyToolをサブメニューとして読み込んで使用するものとします。

使用しているCADがバージョンアップとなった場合でも、独立のメニューとして組み込むことができるようにするためです。


では、次はメニューを作成する為の準備に入りましょう。

ご挨拶

この度、本ブログAutoCAD LT ヘビーユーザへの道」を開設することになりました

汎用CADは使い慣れてくるにつれ、自分で様々なカスタマイズを加えたくなるものですが、本ブログは、そんなユーザの皆様が比較的簡単な「DIESEL式」によるメニューのカスタマイズから、「AutoLISP」を使ったオリジナルコマンドの作成までを学べるよう、そのまま使える実用的なコマンドを例に挙げて解説していきます。

AutoLISP」を使った自由度の高い開発のできるIJCADBricsCAD等のAutoCAD互換CADはもちろん、アプリケーションの開発に限度のある AutoCAD LT においても、開発言語の「DIESEL式」を駆使することで、驚くほどの機能アップが望めるものです。

ユーザの皆様がテクニックを習得されて、自分の業務に有益なコマンドを作り、ヘビーユーザへの道に踏み出して欲しいと望んでいます。

本ブログでは AutoCADAutoCAD LT および IJCADBricsCAD 等の AutoCAD 互換CAD上でのカスタマイズ、コマンド開発(DIESEL式、AutoLISPによる)を取り扱っていきます。



【著者よりご挨拶】

(株)ライトプランニング 代表の阿部泰資です。

私は、AutoCAD用のアプリケーションを開発し始めて25年になります。
更に最近は、AutoCAD互換と言われるIJCADやBricsCADなど向けのアプリケーション
開発も手掛けています。

私は、建築の設計・監理が本職でした。
25年前にAutoCADを導入し、私自身の作業効率を上げることを目的にカスタマイズを
始めました。そのうちに、友人達から「私のCADも何とかしてほしい」との相談が
相次いだことからアプリケーションをパッケージ化することになり、今日に至った
という次第です。

 この長年の経験に基づくノウハウをメルマガで配信しようと考えています。
設計の実務を知り尽くした立場で開発するコマンドには、設計者同士だからこその
機微を感じていただけるでしょう。
そのような姿勢で、より具体的で実践的なコマンドを作成してゆく過程を解り易く
解説してゆきます。

 近年CADも多様化し、所謂AutoCAD互換CADも多数出揃っています。

安価な互換CADへの乗換えも進んできています。その辺も踏まえて、共通するテクニ
ックや表現を用いることによって、CAD間の乗換や併用のノウハウも織り交ぜつつ
情報発信してゆきたいと考えております。

続けてご愛読頂けますと、大変嬉しく存じます。