2013年9月27日金曜日

AutoCAD LTツールバーのカスタマイズ(1)

これまではプルダウンメニュー部分のカスタマイズについて学んできましたが、ここからはツールバーのカスタマイズについて学びましょう。

ここでは、MyToolという名前のツールバーを作成してゆきましょう。

グループ別のフライアウトを含む構成のツールバーを作成します。
ツールバーは、アイコンの図柄によりコマンドを選択するものであり、アイコン(ビットマップ)が必要となります。

以降の説明文中(ダイアログボックス)に出てくる ~.bmp は、それぞれのビットマップファイルが各自で作成され、パスの通っているフォルダに保管されているものとします。


◆ AutoCAD LTのツールバー

「部分カスタマイズ ファイル」の「MYTOOL」の「ツールバー」を右クリックし、「新規ツールバー」をクリックして実行します。

ツールバーの名前を「MyTool」とし、右側の「プロパティ」欄で「既定の表示」を「ワークスペースに追加しない」とし、「エイリアス」行の右端のボタンをクリックして表示される「エイリアス」ダイアログボックスで「TB_MYTOOL」と入力します。

CaLT_TB1 CaLT_TB1_2 CaLT_TB1_3

もうひとつ、「ツールバー」に「新規ツールバー」を作成します。

ツールバーの名前を「設定」とし、右側の「プロパティ」欄で「既定の表示」を「ワークスペースに追加しない」とし、「エイリアス」行は「TB_MT_SET」とします。

新たなツールバー「設定」をコピーし、その上部の「MyTool」に貼付けてフライアウトとします。

つまり、ツールバーの「設定」とフライアウトの「設定」は相似形となる訳です。

CaLT_TB2_3

新たにできた 「MyTool」 > 「設定」 をクリックし、「プロパティ」の小さいイメージ欄に paperset.bmp と、大きいイメージ欄に paperset_32.bmp と入力します。
(.bmpファイルの検索可が条件)

ここで一旦ツールバーのカスタマイズを中断して、ポップアップメニューをひとつ追加作成します。

「メニュー」を右クリックし、「新規サブメニュー」を作成します。
新たに作成されたサブメニューの名前を「用紙・縮尺設定」とし、エイリアスを「PAPERSET」とします。
「メニュー」欄の「PAPERSET」を、既存の「MyTool」よりも上位に移動させましょう。

CaLT_PupMenu10

左下の「コマンド一覧」で、「初期設定 A1-S100  MyTool」をコピーし、左上の「MYTOOL」 > 「メニュー」 > 「用紙・縮尺設定」欄に貼付けます。

同様に、下記のコマンドをそれぞれコマンド一覧からコピーし、「用紙・縮尺設定」欄に貼付けます。

初期設定 A1-S200 MyTool
初期設定 A1-S50  MyTool
初期設定 A1-S20 MyTool
初期設定 A1-縮尺入力  MyTool

-
初期設定 A2-S200 MyTool
初期設定 A2-S100 MyTool
初期設定 A2-S50  MyTool
初期設定 A2-S20 MyTool
初期設定 A2-縮尺入力  MyTool
  CaLT_PupMenu12a

ここで忘れないうちに、「ワークスペース」の「製図と注釈 既定」および「AutoCAD LT クラシック」それぞれについて、右上の「ワークスペースの内容」の「メニュー」欄にある「用紙・縮尺設定(グループ:MYTOOL)」を削除しておきましょう。


ポップアップメニューへの追加カスタマイズはここまでで、ツールバーのカスタマイズに戻ります。

ツールバーのアイコンから、今作成したポップアップメニューの「用紙・縮尺設定」を表示させるコマンドを定義する必要があります。

「新規コマンド」のボタンをクリックし、新たなコマンドの名前を「用紙・縮尺設定」とします。
続いて、マクロ欄の右端のボタンをクリックして新たなダイアログで下記の入力をします。

 ^C^C$p0=MYTOOL.PAPERSET;$p0=*;

説明欄には「用紙サイズと縮尺を選択して関連するシステム変数を設定し、領域にポリラインを作成」と入力しましょう。

更に、「小さいイメージ」欄に paperset.bmp と、「大きいイメージ」欄に paperset_32.bmp と記述します。
(それぞれのビットマップファイルのあるフォルダにパスが通り、検索可能であることが条件です。)

左下の「コマンド」欄の「用紙・縮尺設定」をコピーし、「MYTOOL」 > 「ツールバー」 > 「設定」欄に貼付けます。
更に、「コマンド一覧」から「図面範囲設定」をコピーし、「ツールバー」 > 「設定」欄に貼付けます。

CaLT_Menu21

引き続き、「新規コマンド」のボタンをクリックし、コマンドの名前を「スナップ角度」とします。
マクロ欄の右端のボタンをクリックして新たなダイアログで下記の入力をします。

 ^C^C_snapang;

説明欄には「スナップの角度を設定」と入力しましょう。
更に、「小さいイメージ」欄に snapang.bmp と、「大きいイメージ」欄に snapang_32.bmp と記述します。
左下の「コマンド」欄の「スナップ角度」をコピーし、「ツールバー」 > 「設定」欄に貼付けます。

CaLT_Menu22

ツールバーとして「設定」があり、そのツールバーが「MyTool」のツールバーにフライアウトとして組み込まれているために、「MyTool」の「設定」にも同じコマンドが内包されます。

ここで、一旦、カスタマイズを保存しましょう。

まず、[適用]ボタンをクリックし、カスタマイズ実行を待ちます。
引き続き、[OK]ボタンをクリックし、ダイアログボックスを閉じます。

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次回も引き続きツールバーのカスタマイズを進めて行きます。

次回更新は10月4日(金)を予定しています。

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メニューカスタマイズのノウハウを駆使して開発した「AutoCAD LT」 対応の建築・設備設計支援ツール『CustomARCH LT』がAutoCAD LT 2014に対応致しました。
製品詳細については下記でご紹介しています。

CustomARCH LT 建築

CustomARCH LT 電気設備

2013年9月13日金曜日

ポップアップメニューの表示(AutoCAD LTでの利用)

今回は前回に引き続き、H形鋼の広幅系と細幅系を挿入するコマンドを完成させましょう。

◆ ポップアップメニューの表示

続けてコマンドを作成しメニューに加えます。

「新規コマンド」のボタンをクリックし、新たなコマンドを作成します。
右側の「プロパティ」欄で、名前を「H形鋼 広幅系」とします。
続いて、マクロ欄の右端のボタンをクリックして新たなダイアログで下記の入力をします。

^C^C$M=$(if,$(eq,$(getvar,clayer),STEEL),,-layer;M;STEEL;C;4;;;)$p0=MYTOOL.H-WIDE;$p0=*;

説明欄には「H形鋼(広幅系)のポップメニューから鋼材を選択・挿入」と入力しましょう。

左下の「コマンド」欄の「H形鋼 広幅系」をコピーし、「MYTOOL」>「メニュー」>「MyTool」>「H形鋼挿入」欄に貼付けます。

CaLT_Menu16

もうひとつ、「新規コマンド」のボタンをクリックし、新たなコマンドを作成します。

右側の「プロパティ」欄で、名前を「H形鋼 細幅系」とします。
続いて、マクロ欄の右端のボタンをクリックして新たなダイアログで下記の入力をします。

^C^C$M=$(if,$(eq,$(getvar,clayer),STEEL),,-layer;M;STEEL;C;4;;;)$p0=MYTOOL.H-SLIM;$p0=*;

説明欄には「H形鋼(細幅系)のポップメニューから鋼材を選択・挿入」と入力しましょう。

左下の「コマンド」欄の「H形鋼 細幅系」をコピーし、「MYTOOL」>「メニュー」>「MyTool」>「H形鋼挿入」欄に貼付けます。

CaLT_Menu17


次に、プルダウンメニューの表示状況をワークスペースで整えます。

左上「全てのカスタマイズファイル」欄の「ワークスペース」で「製図と注釈 既定」を選択します。
右側の「メニュー」欄を表示し、下記の項目をワークスペースから削除します。

 Oスナップ(グループ:MYTOOL)
 H形鋼 広幅系(グループ:MYTOOL)
 H形鋼 細幅系(グループ:MYTOOL)

引き続き、左上「全てのカスタマイズファイル」欄の「ワークスペース」で「AutoCAD LTクラシック」を選択します。

右側の「メニュー」欄を表示し、下記の項目をワークスペースから削除します。

 Oスナップ(グループ:MYTOOL)
 H形鋼 広幅系(グループ:MYTOOL)
 H形鋼 細幅系(グループ:MYTOOL)

CaLT_WorkSpace1 Cui_WorkSpace02a

ここで、CUIを閉じましょう。

[適用(A)]ボタンでカスタマイズを実行し、[OK(O)]ボタンで閉じます。

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プルダウンメニュー「MyTool」の「H形鋼挿入」から「H形鋼 広幅系」または「H形鋼 細幅系」を選択すると、それぞれのポップアップメニューが表示されます。

PdMenu_Hkou_AC

PopMenu_H_Wide_view

ここではH形鋼を例題としてポップアップメニューの活用について説明してきました。
この手法は、アイコンやスライドを作成する必要もなく、多数の分岐を有するコマンドを実行する際に便利です。

つまり、DIESEL式によるマクロでは、マクロ内部で多数のオプションや変数を組み込むことは適しておらず、ポップアップメニューやイメージタイルメニューなどの補助的メニューを利用せざるを得ないことになります。

DIESEL式のマクロによるカスタマイズ以外に、LISPその他の言語によるコマンドを作成しメニューに組み込む手法もあります。但し、AutoAD LTなどの所謂LT版では不可能です。

LISP言語によるカスタマイズについてはいずれ当ブログで取り扱いを予定しております。
(対象:AutoCAD、IJCAD、BricsCAD)

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次回からはツールバーのカスタマイズについて解説していきます。
次回更新は1週間お休みを頂き、 9月27日(金)を予定しています。

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2013年9月6日金曜日

ポップアップメニューの活用(AutoCAD LTでの利用)

今回からは、ブロックをポップアップメニュー(ポップメニューまたはカーソルメニューともいう)から選択し挿入する手法を学びます。

例題として、H形鋼の広幅系と細幅系を挿入するコマンドを作成します。

ブロックが必要となりますが、H形鋼のサイズと同名のブロックを各自で作成しておいてください。

例えば、H-125x125x6.5x9x10がブロックの登録名となります。
挿入する画層の名前はSTEELとし、画層を作成する場合は色番号4で作成して下さい。


◆ ポップアップメニューの作成

AutoCADのコマンドライン上で CUI + Enterキー と入力し、メニューのカスタマイズを始めます。

「部分カスタマイズファイル」の「MYTOOL」から「メニュー」を右クリックし、「新規サブメニュー」を作成します。

サブメニューの名前を「Oスナップ」とし、エイリアスを「P-OS」とします。

「メニュー」欄の「Oスナップ」を、既存の「MyTool」よりも上位に移動させましょう。
この「Oスナップ」をポップアップメニューの規定値として使用する考えです。

CaLT_PupMenu1

次に、左下の「コマンド一覧」欄の「スナップ、一時トラッキング点」をコピーし、「Oスナップ」欄に貼付けます。
更に、「コマンド一覧」欄から下記のオプションを次々に選択し、「Oスナップ」欄に貼付けます。

PopMenu_os
スナップ、基点設定
スナップ、端点
スナップ、中点
スナップ、交点
スナップ、仮想交点
スナップ、中心
スナップ、四半円点
スナップ、接線
スナップ、垂線
スナップ、挿入基点
スナップ、点
スナップ、近接点
スナップ、解除


区切りも挿入し、見易くすると良いでしょう。

更に、「メニュー」を右クリックし、「新規サブメニュー」を作成します。

新たに作成されたサブメニューの名前を「H形鋼 広幅系」とし、エイリアスを「H-WIDE」とします。

「メニュー」欄の「H-WIDE」を、既存の「MyTool」よりも上位、「Oスナップ」より下位に移動させましょう。
もう一度「メニュー」を右クリックし、「新規サブメニュー」を作成します。
新たに作成されたサブメニューの名前を「H形鋼 細幅系」とし、エイリアスを「H-SLIM」とします。
「メニュー」欄の「H-SLIM」を、既存の「MyTool」よりも上位、「H-WIDE」より下位に移動させましょう。

 CaLT_PupMenu2

続いて「新規コマンド」のボタンをクリックし、新たなコマンドを作成します。

右側の「プロパティ」欄で、名前を「H-100x100x6x8x10」とします。
続いて、マクロ欄の右端のボタンをクリックして新たなダイアログで下記の入力をします。

^C^C-insert;H-100x100x6x8x10;\1;1;\$p0=MYTOOL.P_OS;

説明欄には「H形鋼の広幅系をブロック挿入」と入力しましょう。

「コマンド一覧」欄の「H-100x100x6x8x10」をコピーし、「MYTOOL」>「メニュー」>「H形鋼広幅系」欄に貼付けます。

CaLT_PupMenu3

同様に下記の名前のコマンドを順次新規作成して、コピー・貼付けを繰り返します。

CaLT_PupMenu4
H-125x125x6.5x9x10
H-150x150x7x10x11
H-175x175x7,5x11x12
H-200x200x8x12x13
H-250x250x9x14x16
H-300x300x10x15x18




ここで、「H形鋼 広幅系」を右クリックし、「区切りを挿入」を実行します。
更に、「新規コマンド」のボタンをクリックし、新たなコマンドを作成します。
右側の「プロパティ」欄で、名前を「Cancel」とします。

続いて、マクロ欄の右端のボタンをクリックして新たなダイアログで下記の入力をします。

^C^C$p0=MYTOOL.P_OS;

説明欄には「取り消します」と入力しましょう。

「コマンド」欄の「Cancel」をコピーし、「MYTOOL」>「メニュー」>「H形鋼 広幅系」欄に貼付けます。
H形鋼のサイズは必要に応じて追加すると良いでしょう。

引き続き「H形鋼 細幅系」に、下記のコマンドを作成してコピー・貼付けを実行しましょう。

CaLT_PupMenu5
H-100x50x5x7
H-150x75x5x7
H-200x100x5.5x8
H-250x125x6x9
H-300x150x6.5x9
H-350x175x7x11
H-400x200x8x13



「コマンド」欄の「Cancel」をコピーし、「MYTOOL」>「メニュー」>「H形鋼 細幅系」欄に貼付けます。

尚、「H形鋼 細幅系」欄の「Cancel」の前に区切りを挿入しましょう。

H形鋼のサイズは必要に応じて追加すると良いでしょう。

さて、3つのポップアップメニューが設定されました。

CaLT_Pup_HColumn1
「Oスナップ」はポップアップメニューの規定値として使用され、残る2つは他のメニューによってコマンド実行のために表示されるポップアップメニューです。

広幅系と細幅系のH形鋼ポップアップメニューから選択するブロックが挿入された後に、ポップアップメニューは「Oスナップ」に設定されるよう定義されます。

次に、プルダウンメニューからH形鋼の広幅系、細幅系それぞれのポップアップメニューを表示させるコマンドを定義しましょう。

「部分カスタマイズファイル」の「MYTOOL」から「メニュー」の「MyTool」を右クリックし、「新規サブメニュー」を作成します。そのサブメニューの名前を「H形鋼挿入」とします。

CaLT_Menu15

ここで一旦CUIを閉じましょう。
[適用(A)]ボタンでカスタマイズを実行し、[OK(O)]ボタンで閉じます。


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次回はポップアップメニューを表示させるコマンドを定義していきます。
次回更新は 9月13日(金)を予定しています。

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メニューカスタマイズのノウハウを駆使して開発した「AutoCAD LT」 対応の建築・設備設計支援ツール『CustomARCH LT』がAutoCAD LT 2014に対応致しました。
製品詳細については下記でご紹介しています。

CustomARCH LT 建築

CustomARCH LT 電気設備